美容の文脈で「幹細胞」「エクソソーム」という言葉を見かける機会が増えました。どちらも“細胞の力を使う”イメージで語られがちですが、実際には中身も、制度上の扱いも異なります。ここでは、どちらが良い・悪いという話ではなく、両者の違いと、知っておきたい注意点をフラットに整理します。
そもそも、何が違うのか
ごく単純化すると、次のような違いがあります。
幹細胞そのものを用いる方法は、自分(または他者)の組織から取り出した幹細胞という“細胞そのもの”を体内に用いるアプローチです。
エクソソームは、細胞そのものではなく、細胞が分泌する非常に小さな粒子(細胞外小胞のひとつ)に着目したアプローチです。幹細胞の培養液の上澄み(培養上清液)に含まれる成分などが用いられます。
つまり「細胞を使うか/細胞が出した分泌物を使うか」が、両者を分ける大きな境界線です。
制度上の扱いが、はっきり違う
ここが、読者の方に最も知っておいていただきたいポイントです。
幹細胞そのものを用いる医療は、再生医療等安全性確保法(安確法)という法律のもとにあります。リスクに応じた分類があり、治療を提供する前に提供計画の届出を行い、認定された委員会の審査を経ることが求められます。
一方でエクソソーム(培養上清液を含む)は、「細胞そのもの」ではないという理由から、現時点では同法の規制の対象外とされています。医師の裁量のもとで自由診療として提供されているのが実情です。
さらに押さえておきたい行政の動きとして、2024年7月に厚生労働省は、医薬品的な効果をうたうエクソソーム関連製品について、承認・許可のない医薬品にあたるおそれがあるとして注意を促す事務連絡を出しています。現時点で、薬事承認されたエクソソームの医薬品は存在しません。加えて、2024年に公布された改正法では、細胞の分泌物を用いる医療についても、今後(2026年をめどに)法制度上の位置づけを検討するとされています。制度そのものが、いままさに動いている領域だといえます。
だからこそ、確認したいこと
こうした背景から、エクソソームを含む再生医療を検討する際は、次のような点を確認しておくと安心です。
用いるものが幹細胞なのかエクソソーム等なのか、その治療が法の対象か対象外か、そして提供元がどのような品質管理・説明を行っているか。自由診療である以上、費用や、起こりうるリスク・副作用についても、事前に十分な説明を受けることが大切です。
なお、エクソソームや培養上清液を用いた治療を受けた場合、その後の献血が一定期間制限されることがあります。こうした生活面への影響も、受診前に確認しておきたい点のひとつです。
まとめ
幹細胞とエクソソームは、「細胞そのもの」か「細胞の分泌物」かという点で異なり、制度上の扱いも大きく違います。幹細胞は法の枠組みのもとで提供計画の届出等が求められる一方、エクソソームは現時点で規制の対象外とされ、承認された医薬品もなく、制度が検討途上にあります。
大切なのは、言葉のイメージで判断せず、「いま何がわかっていて、何がわかっていないのか」を知ったうえで、医師とよく相談して決めることです。
よくある質問
Q. エクソソームは幹細胞治療の一種ですか?
A. 細胞そのものを用いる幹細胞治療とは区別されます。エクソソームは細胞が分泌する粒子に着目したもので、制度上の扱いも異なります。
Q. どちらが効果が高いですか?
A. 効果を一律に比較することはできません。適応や結果には個人差があり、医師の診察のうえで判断されるべきものです。当サイトでは効果を断定するご案内は行っていません。
Q. 受ける前に何を確認すればよいですか?
A. 用いるものの種類、法の対象かどうか、費用、主なリスク・副作用、提供元の品質管理などです。迷われたら、中立の立場でご相談に応じます。
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この記事について
本記事は、厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)などが公表する一次情報をもとに、再生医療ガイド編集部が作成しています。当サイトは医療機関ではなく、特定の治療法や医療機関を推奨するものではありません。効果には個人差があり、治療を受けられるかどうかや適応の判断は、医師の診察に基づいて行われます。記事の作成方針と参照範囲については運営者情報・編集方針をご覧ください。内容の誤りにお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。
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