幹細胞治療の案内を読むと、「自家(じか)」「他家(たか)」という言葉が出てきます。自分の細胞を使うか、他人の細胞を使うか、という違いです。この違いは、体への負担や待ち時間だけでなく、法律上の手続きの重さまで変えます。順に整理します。
自家と他家の違い
自家は、患者本人から細胞を採取して培養し、本人に戻す方法です。他家は、第三者(ドナー)から提供された細胞を用います。
| 自家(自分の細胞) | 他家(他人の細胞) | |
|---|---|---|
| 細胞の出どころ | 患者本人 | ドナー |
| 採取 | 脂肪や骨髄などを本人から採取する | 本人からの採取は不要 |
| 準備期間 | 採取から培養を経るため、数週間かかることが多い | あらかじめ用意された細胞を使うため短くなりうる |
| 拒絶反応 | 自分の細胞のため懸念は小さいとされる | 免疫反応の可能性が論点になる |
| 感染症の考え方 | 本人由来のため、ドナー由来の感染リスクは想定しにくい | ドナーの検査体制が重要になる |
| 法律上の区分 | 第二種再生医療等 | 第一種再生医療等 |
| 手続きの重さ | 認定再生医療等委員会の意見を経て提供計画を届け出る | 上記に加え、厚生科学審議会の意見聴取と一定の待機期間が求められる |
法律上の区分が変わることの意味
再生医療等安全性確保法は、再生医療等をリスクの程度に応じて三つに分けています。日本再生医療学会の再生医療ポータルでは、次のように説明されています。
- 第一種:ヒトに実施されたことが極めて少なく、既知・未知を含めてリスクが高いと想定されるもの。ES細胞・iPS細胞、他人の幹細胞を用いる治療など
- 第二種:すでにヒトに実施されたことがあり、中程度のリスクが見込まれるもの。患者自身の体性幹細胞を用いる治療など
- 第三種:細胞がもともと持つ機能を利用し、大きな操作を加えないもの。加工を施した体細胞を用いるものなど
つまり、同じ「幹細胞治療」でも、自家なら第二種、他家なら第一種にあたり、他家のほうが手続きは重くなります。いずれの区分でも、提供計画の届出は必要です。
ここで押さえておきたいのは、この分類はリスクの程度による区分であって、有効性を評価したものではないという点です。「第一種だから高度」「第三種だから効かない」といった読み方はできません。
「他家のほうが新しい/優れている」ではない
他家は準備期間が短く、本人から採取する必要もないため、受ける側の負担は軽く感じられます。ただしそれは利便性の話であり、有効性が上だと確認されているわけではありません。むしろ法律上は、より慎重な手続きが求められる区分に置かれています。
逆に自家は、採取のための処置と数週間の培養期間が必要になります。どちらが良いかではなく、何を優先するかによって向き不向きが変わる、と捉えるほうが実態に近いといえます。
確認しておきたいこと
- 自家か他家か。他家の場合は、ドナーの条件と感染症検査の体制
- 届け出ている区分(第一種/第二種/第三種)と、届出の有無
- 採取から投与までの回数・期間・総額と、追加費用が発生する条件
- 培養を行う施設(細胞培養加工施設)がどこか
- 想定されるリスク・副作用と、起きた場合の対応
- 中止した場合に、すでに採取した細胞や費用がどう扱われるか
届出のある医療機関は、再生医療ポータルの提供機関検索で調べられます。説明と公開情報が一致しているかは、その場で確認できる数少ない客観的な材料です。
よくある質問
Q. 自家と他家、どちらを選べばよいですか?
A. 一般論として優劣を決められるものではありません。体への負担、準備期間、費用、適応の可否を踏まえ、医師の診察を受けたうえで判断する必要があります。
Q. 他家の治療は日本で受けられますか?
A. 第一種再生医療等として届け出られている必要があります。届出の有無は公開情報で確認できます。詳しくは他家幹細胞治療は日本で受けられる?をご覧ください。
Q. 届出があれば効果も確認されているのですか?
A. いいえ。届出は安全性確保のための手続きであり、有効性を国が保証するものではありません。
Q. 培養した細胞は保存しておけますか?
A. 凍結保存を扱う事業者もありますが、条件・費用・保管期間は事業者ごとに異なります。契約内容の確認が必要です。
Q. 効果には差が出ますか?
A. 効果には個人差があり、適応の判断は医師の診察によります。由来や培養方法、投与経路が異なれば前提も変わるため、同じ施術名でも同一とは限りません。
参考にした公的情報
- 厚生労働省「再生医療等提供計画の提出等について」
- 日本再生医療学会 再生医療ポータル「第一種・第二種・第三種の違い」
- 日本再生医療学会 再生医療ポータル「提供機関をさがす」
- 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
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判断に迷ったときは
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この記事について
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