美容医療の情報を調べていると、幹細胞やエクソソームと並んで「PRP(多血小板血漿)」という言葉を見かけることがあります。自分の血液を使うと説明されることが多い一方、どんな仕組みで、どんな決まりのもとで行われているのかは分かりにくいかもしれません。この記事では、PRPの基礎と法制度上の位置づけ、検討する際に確認しておきたい視点を、中立的な立場から整理します。

PRP(多血小板血漿)とは

PRPは Platelet-Rich Plasma の略で、日本語では「多血小板血漿」と呼ばれます。本人から採血した血液を遠心分離機にかけ、血小板を多く含む成分を取り出したものを指します。もともとは整形外科や歯科の領域で使われてきた手法で、美容分野でも用いられるようになりました。

「自分の血液を使う」ことの意味

自己の血液由来の成分を用いるため、他人由来の材料と比べてアレルギー反応などのリスクは理論上小さいと説明されることがあります。ただし、これは「リスクがない」という意味ではありません。採血・注入という医療行為に伴う内出血、腫れ、痛み、感染などの可能性はあり、体質や体調、施術内容によって経過は異なります。効果や経過には個人差があります。

美容分野で注目される背景

血小板には、組織の修復に関わるとされる複数の成長因子が含まれることが知られています。この性質に着目し、皮膚や頭皮へのアプローチとして研究・応用が進められてきました。ただし、対象部位や濃度、調製方法、回数などによって条件が大きく異なり、どの条件でどの程度の変化が期待できるかについては、まだ検証が続いている領域です。特定の結果を約束するものではない、という前提で情報を読むことが大切です。

法制度上の位置づけ:第3種再生医療等

PRPを用いた治療は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」の対象で、リスクの分類上は第3種再生医療等にあたります。医療機関は、あらかじめ認定再生医療等委員会の意見を得たうえで、地方厚生局へ提供計画を届け出る必要があります。届出が受理されていない状態で提供することはできません。

混同されやすい他の手法との違いも押さえておくと整理しやすくなります。幹細胞を用いる治療も同法の規制対象で、由来や加工の程度に応じて第1種・第2種などに分類されます。一方、エクソソーム(幹細胞培養上清液)は、細胞そのものではないという解釈から、現時点で同法の直接の規制対象とはされておらず、美容目的で承認された医薬品も存在しません。この点については、2024年7月に厚生労働省から注意喚起の通知が出され、その後も制度上の取り扱いをめぐる検討が続いています。

検討するときに確認しておきたい視点

  • その医療機関が、提供計画の届出を行っているか(計画番号の確認)
  • 調製方法や使用するキット、注入部位・回数の説明があるか
  • 起こりうる副作用・合併症と、その際の対応方針が示されているか
  • 費用の総額(再診・追加施術を含む)が事前に明示されているか
  • 期待できる範囲と限界について、断定的でない説明がされているか

説明を聞いて疑問が残る場合は、その場で決めず、持ち帰って考える時間をとることをおすすめします。

よくある質問

Q. 保険は使えますか?

美容目的での提供は自由診療にあたり、公的医療保険の対象外となるのが一般的です。費用は医療機関ごとに異なります。

Q. 幹細胞治療やエクソソームとどう違いますか?

用いる材料が異なります。PRPは本人の血液成分、幹細胞治療は細胞そのもの、エクソソームは細胞が出す小さな粒子(分泌物)を扱います。法制度上の位置づけや必要な手続きもそれぞれ異なるため、同じものとして比較しないほうが実態に近い理解になります。

Q. 誰でも受けられますか?

血液の状態や持病、服薬内容によっては適さない場合があります。判断は診察を行った医師によります。

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この記事について

本記事は、厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)などが公表する一次情報をもとに、再生医療ガイド編集部が作成しています。当サイトは医療機関ではなく、特定の治療法や医療機関を推奨するものではありません。効果には個人差があり、治療を受けられるかどうかや適応の判断は、医師の診察に基づいて行われます。記事の作成方針と参照範囲については運営者情報・編集方針をご覧ください。内容の誤りにお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。

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