「成長因子(グロースファクター)」は、エイジングケア化粧品の成分としても、クリニックの注入施術としても目にする言葉です。同じ「成長因子」でも、化粧品に配合される場合と、注射で皮下に注入する場合とでは、位置づけも法規制もまったく異なります。ここでは中立の立場から、仕組み・研究でわかっていること・確認しておきたい視点を整理します。
成長因子(グロースファクター)とは何か
成長因子は、細胞に「増えなさい」「分化しなさい」といったシグナルを伝えるタンパク質の総称です。もともと体内に存在し、傷が治る過程などで働いています。美容の文脈でよく挙がるのは次の2つです。
- EGF(上皮成長因子)…主に表皮に関わる因子。1962年にスタンレー・コーエン博士らによって発見され、その研究は1986年のノーベル生理学・医学賞につながりました。
- FGF(線維芽細胞増殖因子)…真皮の線維芽細胞に関わる因子。コラーゲンなどの産生に関与すると考えられています。FGFファミリーには多くの種類があり、毛包周辺の細胞への作用を調べた研究も報告されています。
いずれも「肌の材料を外から足す」のではなく、「肌自身の細胞に働きかける」という考え方に立つ点が、ヒアルロン酸などの充填材と大きく異なります。ただし、この考え方が期待どおりの結果につながるかどうかは、使う因子の種類・量・投与方法・その人の状態によって変わり、結果には個人差があります。
「化粧品に入っている成長因子」と「注入する成長因子」は別物
混同されやすいのがこの点です。
化粧品の場合
化粧品は、あくまで肌を健やかに保つ目的の製品として扱われます。成長因子は分子量の大きいタンパク質であるため、塗布したものが皮膚のどこまで届くのかについては皮膚科学的な議論があり、製剤の工夫(浸透技術やペプチド化など)で対応しようとする製品もあります。化粧品の広告で医薬品のような効能をうたうことは薬機法上できません。
注入施術の場合
クリニックで行われる成長因子の注入は、多くが自由診療で、使われる製剤に国内で承認された同一内容の医薬品が存在しないケースがあります。医師が自らの責任で個人輸入した未承認医薬品を用いる場合、その旨や入手経路、国内承認の有無などを説明することが求められています。検討する際は、使用する製剤名と承認状況を確認しておくとよいでしょう。
再生医療等安全性確保法との線引き
ここも整理しておきたいポイントです。再生医療等安全性確保法は、細胞を加工して人に用いる医療(幹細胞治療やPRPなど)を対象とし、提供にあたっては計画の届出などの手続きを求めています。一方、成長因子そのものの注入は「細胞を用いる医療」ではないため、この法律の枠組みとは扱いが異なります。
同様に、エクソソーム(幹細胞培養上清液)も現行の再生医療等安全性確保法の直接の対象ではなく、承認された医薬品も存在しません。「再生」という言葉が付いていても、法的な位置づけは施術ごとにばらばらである、という前提で情報を読むことが大切です。
報告されているリスク
成長因子の注入について、クリニック各社が公表している情報では、次のようなリスクが挙げられています。
- 注入部位のしこり・膨らみ・凹凸
- 腫れ、内出血、赤み、違和感
- 意図した以上のボリューム変化が長期に残る可能性
特に、細胞に増殖のシグナルを与えるという性質上、ヒアルロン酸のように「溶解剤で戻す」といった対応が単純にはできない点は、事前に理解しておきたいところです。起こりやすさや程度には個人差があり、投与量や部位によっても変わります。
よくある質問
Q. 成長因子は「再生医療」ですか?
A. 広い意味で「再生医療」と紹介されることはありますが、法律上の再生医療等安全性確保法が対象とするのは細胞を加工して用いる医療です。成長因子の注入は細胞を用いないため、同法の届出の枠組みとは扱いが異なります。言葉の使われ方と法的区分は必ずしも一致しません。
Q. 効果はどのくらい続きますか?
A. 製剤・投与量・部位・年齢・生活習慣などの条件が影響するため、一律には言えません。持続期間を断定的に示す情報には注意し、実際にはカウンセリングで根拠とともに説明を受けることをおすすめします。
Q. 検討するとき、何を確認すればよいですか?
A. ①使用する製剤名と国内承認の有無、②注入量と部位の設計、③しこりなど起きた場合の対応方針と追加費用、④担当医の説明が文書で残るか、の4点は最低限確認しておきたい項目です。
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この記事について
本記事は、厚生労働省・独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)などが公表する一次情報をもとに、再生医療ガイド編集部が作成しています。当サイトは医療機関ではなく、特定の治療法や医療機関を推奨するものではありません。効果には個人差があり、治療を受けられるかどうかや適応の判断は、医師の診察に基づいて行われます。記事の作成方針と参照範囲については運営者情報・編集方針をご覧ください。内容の誤りにお気づきの場合はお問い合わせよりご連絡ください。
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